普及啓発活動

館内の展示物やフィールド調査の結果などを活用し、ウミガメ触れ合い体験や餌やり体験などを行い、ウミガメの生態やとりまく環境の現状などを情報発信しています。

フィールド調査

ウミガメ館では、ビーチクリーン活動の他、漂着したウミガメの救助、標識放流調査、残念ながら死んで海辺にながれついいた個体の調査、産卵上陸調査、ふ化調査などを行い、ウミガメの保護、保全に役立てています。

アカウミガメ救出作戦!

島民からの連絡を受け、ミーフガーの港へ行ってみると、アカウミガメ(メス)が挟まって身動きが取れずにいました。以前に同じような状況で息絶えてしまったウミガメもいましたが、今回は悪天候が幸いしたのかまだ生きていました。体はかなり白っぽくなっていましたが、海水をかけたら赤色に戻りました。

無事に救出に成功したアカウミガメは甲長88.6cmもある大きな個体でした。少し弱っていましたが自力で海に向かい旅立っていきました。
今回も通報してくれたおかげで1つの命を救うことができました。今後ともご協力をお願いいたします。

奇跡のアオウミガメ!

当館近くの砂浜で漂着漁網に絡まったアオウミガメを発見しました。例年この時期には死んだウミガメ類がこの場所へ漂着しますがこのウミガメは溺死することなく奇跡的に生存していたので直ちに保護し専用の水槽で様子を観察しました。(甲長約32cm)

やや衰弱していましたが自力で呼吸するなど日に日に回復も見られ与えたエサも食べ始め1週間後位から排泄物の中に混じって魚介類をはじめ誤飲によるゴム片やプラスチック片など海洋に漂着しているゴミが2週間以上確認され続けました。約2ヶ月の間で順調に回復したアオウミガメに標識を装着し放流しました。

島内における産卵場の状況①

これはウミガメの産卵跡です。目の前に波が打ち寄せていて卵が波にさらわれる危険性があったので、無事にふ化できるように安全な場所に移しました。ここの浜は毎年産卵がありますが、漂着ゴミが多く広さも十分でない為、このような波打ち際に産卵してしまうウミガメいます。
また、台風や高波による自然災害によりここの砂浜全体が波でかぶってしまう場所でもあります。
久米島島内にウミガメが上陸、産卵する所がいくつかありますが、完全に卵がふ化し海に帰れる場所は少ないのが現状です。

島内における産卵場の状況②

漂着ゴミを回収していた時に発見したウミガメの産卵跡です。海水に浸っている状態の卵が見つかりました。
ここも砂浜ではありますが潮の満ち干きにより半分以上が波のかぶる場所です。通常、海水でぬれた卵はふ化率が著しく低下します。とりあえず卵を安全な場所へ移しました。また別の浜では河口付近で水に濡れていた卵もありましたがこの時は数頭でしたが無事にふ化し大海原へ旅立っていきました。
これらの事例によりウミガメの産卵ができる環境が少なくなっているのではないでしょうか。

只今、待機中・・・

アオウミガメの巣穴の写真です。よく見ると二頭が写っています。このまま稚ガメたちは、日が沈むまで動かずにジッとしています。そして辺りが暗くなってから一斉に海に向かっていきます。翌日に確認したところ、ほとんどの稚ガメたちが巣立っていきました。

かなしい現実・・・

島尻周辺で産卵場所を求め泳いでいたアオウミガメでしたが、何らかの原因で死亡し漂着していました。
腐乱により頭やヒレがなくなり、仰向けの状態での発見でした。
この時、遺体周辺には はがれた甲羅の一部や体内に残っていた卵が腐敗した体から出てきて、それを鳥やカニなどの生物が食べていました。

甲長約1mある大きなアオウミガメでした。

漂着個体調査

ビーチなど島の海辺には、弱ったウミガメや残念ながら死亡してしまった個体が漂着することがあります。ウミガメ館では、これらの個体を調査しています。

アカウミガメ(左:トクジム、右:奥武島の砂州)の死着写真です。2頭とも甲長90cm以上ありました。死因は特定できませんでしたがガスが体内で膨張しています。※測定調査後に現場にて埋設します。

すでに弱っている状態で保護したタイマイです。2週間後に死亡しました。解剖した結果、のどに大きな釣り針が刺さっていたのが死因とみられます。

弱っているウミガメがいるとの通報があり、アオウミガメを保護しました。甲長40cm/体重6㎏で衰弱し痩せていました。2日後に死亡し、解剖した結果、消化管より多数のビニール類やプラスチック片が確認されました。アオウミガメによる誤飲事故でこの量の多さは久米島では初めてみました。実際に取り出したゴミを確認してみてください。

事故にあったウミガメ達・・・

上の写真(左:タイマイ/中央、右:同一のアオウミガメ)は偶発的な事故により死着したウミガメです。 [ウミガメは肺呼吸です。息継ぎをしないとおぼれて死んでしまいます。いずれも大きさ30~40cm位] 左のタイマイは漁網に絡まっておぼれて死んでしまいました。中央、右のアオウミガメも前ヒレつけね付近に激しく抵抗してできた傷が見られます。傷口を観察したときに漁網片が確認できました。 この他に現在でもウミガメ達は人間の食料や環境の変化によって数を減らしていますが、原因の多くは圧倒的にこのような事故で命を落としていると考えられます。これらは世界で生きるウミガメ達の脅威となっていて年間死亡数の把握もできません。一部の国では、対策として誤ってウミガメが漁の網などにかかっても、逃げられる装置を導入したり、禁漁区を設けたりしていますが、広い海を自由に回遊するウミガメ達の減少になかなか歯止めがかかっていなのが現状です。

産卵をあきらめたウミガメ①

ウミガメが産卵のために上陸し、穴を掘った跡です。この下には厚いコンクリートがあったため、残念ながら卵を産むことができずに帰ってしまったようです。
ウミガメは上陸をしたから必ず産卵するとは限りません。確認の為に何度か上陸するウミガメもいれば諦めて海の中で産んでしまうウミガメもいます。しかしウミガメの産卵は1シーズンに数回間隔をあけて産卵するので、ほとんどは最初に産んだ砂浜に戻ってきます。また毎年同じウミガメは産卵せず、数年間の間隔をあけてから次の交尾、産卵をします。ウミガメが産卵場所に選んだ砂浜の環境を適切に維持していかなければなりません。

産卵をあきらめたウミガメ②

この写真はウミガメが産卵の為に上陸しましたが、砂のすぐ下に護岸(コンクリート)があり、あきらめて帰ってしまった跡です。この海岸では複数の上陸が確認されていますが、高波や台風などによりふ化は著しく困難です。また、漂着ゴミ汚染や人間の出入りが多い場所でも同じことがいえます。久米島においても必ずウミガメが安心して産卵、ふ化できる砂浜は少ないのが現状です。

軽石を誤飲したウミガメ

2021.12.9 イーフビーチに死んで漂着していたふ化後間もないアオウミガメを発見しました。

甲らの大きさは約5㎝位です。この頃の稚ガメは海中深く潜ることが難しい為に海面に漂いながら目の前にきた流れ藻やクラゲ類などの動きが遅い物をエサとして食べていると考えられています。この年の8月小笠原海底域の噴火によ自然災害による大量の軽石漂流を誤飲し排泄できずに死んでしまったのが原因と思われます。わずか数ミリの軽石ですが今後生まれてくる稚ガメ達には新たな脅威になりつつあります。

ウミガメ産卵上陸砂浜海岸におけるキャンプ・たき火の現状について報告

2017年よりウミガメ類が産卵上陸する砂浜に周知協力を求める立て看板を設置しているが、近年の社会情勢(マスメディア)等により野営キャンプやたき火が増加傾向にあり、2020年の5月から10月の期間に確認された現場写真(別紙)で報告書を作成。

・ウミガメ類の産卵上陸時期と砂浜を利用する人々の活動時期がほぼ同じである。

・ウミガメの産卵巣と夜間にキャンプやたき火をする場所が同じ場合が多い。

・立ち入りを規制している砂浜に車両が進入している。(奥武島東側が多い)

・回数は減少したものの現場の看板等が無断撤去・損壊がある。

・たき火の不始末により木炭や飲食物等の持ち込んだゴミが散乱し景観や自然環境に影響を与えている。

漂着ゴミ

久米島の海岸沿いに漂着しているゴミです。
黒いプラスチックの浮きやペットボトルは外国製のものがほとんどです。
軽トラックに積載されているゴミは二人で約1時間拾った量です。
現在も島の海岸は捨てられたゴミによって汚染され続けています。
館裏に運んできた漁網と奥武島の砂州に漂着したロープなどです。
とても1回では運べないので適当な大きさに切ってから処分しています。真夏の炎天下の作業でしたので苦労しました。

漂着ゴミの一例

人口砂浜で産卵しました

2009年5月19日、館内で飼育しているアオウミガメが屋内の人口砂浜で産卵しました。この時81卵数を確認し、安全な場所へ移動しました。それから70日後の7月28日に巣穴から出てくる兆候が見られたため、調べてみると15頭の元気な稚ガメが続々と砂の中から這い出てきました。[甲羅の大きさ平均4.7cm/体重平均26.7g]
2回目の産卵は5月31日→63卵、ふ化は8月4日→15頭。 3回目の産卵は6月29日→40卵、ふ化は9月13日→0頭でした。2回目、3回目の間に水中(大水槽)に多数産卵してしまい、スタッフが気づいた時にはウミガメ達が卵を潰してしまっていたため、確かな卵数は確認できませんでした。

赤土流出による海洋汚染

集中豪雨などにより雨水が山から海へ流れて海の生物に悪影響を与えています。久米島の海に深刻なダメージをもたらしている赤土流出汚染の写真です。